防災ミニ講座

第2回 都立高校教科「奉仕」の時間を使った防災教育事例

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ)

災害救援ボランティア推進委員会 事務局 兼 防災教育チャレンジプラン実行委員会 事務局
東京都・都立高校支援方策検討委員会 委員
東京都・外部団体と連携した防災教育検討委員会 委員

都立高校教科「奉仕」の時間を活用した防災一斉体験学習の事例について紹介します。


●本講の内容

1)教科「奉仕」と防災教育
2)高校と地域連携
3)防災一斉体験学習
4)首都直下地震に備えて

【1】教科「奉仕」と防災教育

都立高校における「奉仕」の必修化は、2004(平成16)年4月に策定された「東京都教育ビジョン」で提言されたもので、奉仕体験や勤労体験などをとおして社会の一員であること、他者とのかかわりのなかで人間は生きていることを実感させることが狙いとなっています。具体的には、1単位(週1時間程度)以上の必修とし、授業時間全体の少なくとも半分以上をボランティアなどの体験活動に充てることになっています(2007.1.29 Benesse教育ニュースより引用)。

これまでに様々な高校が「奉仕」の体験学習を実施していますが、本会は2009(平成21)年度から「奉仕」の時間を使った防災教育に協力しています。「奉仕」で狙いとされている社会の一員としての実感、他者との関わりについて、「防災」を通じて伝えています。

「奉仕」と「防災」に共通しているのは、どちらも「自ら進んで考え、行動する力」が求められるという点です。どちらも強制するだけでは本来の目的、つまり他者への思いやりや社会貢献、危険から自分の身を守るといった目的を達成することは困難です。

本会では後述するような「地域連携」を軸とした防災教育を授業時間に行うことによって、生徒が社会の一員であることや他者との関わりについて”気付く”きっかけ作りを進めています。

【2】高校と地域連携

高校と地域連携は小学校・中学校とは違った特徴があります。まず、小中学校は児童生徒が近隣に住んでいるため、元々地域性が高いものです。また、いわゆる「避難所」としての機能を持っていることが多く、地域の防災拠点にもなります。

ですが、高校(都立高校)の場合は、遠方から通う生徒もいることに加え、自治体との防災協定等を締結している場合を除き、地域の「避難所」としては指定されていないことがほとんどです。かといって防災上の機能がないわけではなく、東京都から帰宅困難者の支援活動を行う「帰宅支援ステーション」に指定されています。これに伴って様々な防災備蓄も行われています。

都と市区町村という行政区分から小中学校と高校の防災機能に隔たりができてしまっているわけですが、近隣の住民の方からすると、どちらも同じ学校です。都立だから、区立だからというのは住民目線からするとあまり関係のないことですし、児童生徒に対しての説明も難しいですね。

そこで、本会ではこうした行政区分を超えた地域連携を防災教育を通じて進めています。
防災教育の実施に際して、高校の所在地にある防災機関、消防署や市区町村防災課に協力してもらうほか、「奉仕」で関わる社会福祉協議会、さらには民間企業とも連携し、地域の防災に高校・高校生が関わっていく環境を作っています。

【3】防災一斉体験学習-千早練馬モデル-

具体的な防災教育のモデルをご紹介します。防災一斉体験学習-千早練馬モデル-は、2009(平成21)年、2010(平成22)年に都立千早高校で実施し、2011年に都立練馬高校で実施し、その内容と成果について東京都教職員対象研修会で報告したことからひとつのモデルとしたものです。

千早練馬モデルは、1学年6クラスを対象とし、3時間~4時間を使い、体育館を会場として行う防災体験プログラムです。テーマ別に6つのブースを設置し、生徒はクラス単位でブースを体験しながら移動します。

(例)緊急地震速報体験→安否確認体験→避難所開設体験→(休憩)→非常食体験→仮設トイレ設営体験→災害ボランティア体験

ブースの指導は教職員・防災課・民間企業・社会福祉協議会・消防署が担当します。生徒(教職員も)は多くの防災機関から防災について指導してもらいながら体験することで、地域の中での自分たちの役割や、できることについて考えます。

事前には防災についての講演・映像学習、事後にはワークシートを用いた振り返りも行います。

防災一斉体験学習-千早練馬モデル-はその柔軟性と地域連携を具体化できることから、様々な高校から実施依頼があり、2011(平成23)年度も実施予定となっています。

【4】首都直下地震に備えて

東京都(関東)はこれから首都直下地震や東海・東南海地震に備えていく必要があります。高校生の力は、地域防災力の向上に重要な役割を担うことになりますし、今後20年、30年の防災を考えた場合も高校での防災教育は大切です。本会は、今後も高校へ防災教育が広がることを願い、防災教育の推進にも力を入れています。

Q.高校での防災教育を実施したいときはどうしたらよいですか?
A.様々な防災教育事例を掲載しているホームページがありますので、ぜひご覧ください。

『防災教育チャレンジプラン』のホームページにアクセスすると、全国の様々な学校・団体による防災教育事例を見ることができます。ワークシートなども使うことができるようになっていますので、ご活用ください。

防災教育チャレンジプランホームページ

また、東京都教育教育委員会では、3月11日の震災を受けて防災教育の推進を行っています。都立高校の教職員の方で防災教育を実施されたい方は、教育委員会にご相談ください。また、都立高校以外の高校の方は、本部事務局でもご相談を承ります。また所管の教育委員会や消防署等でもご対応いただける場合があります。

Q.外部の人、団体に頼む予算がとれないのですが・・・
A.お気軽にご相談ください。また公的機関との連携をご検討ください。

本会は非営利のボランティア団体ですので、教育機関からのご依頼については可能な限りご相談に応じていますので、まずはご希望の内容などをお気軽にご連絡ください。また前述の防災体験学習のように、市区町村区役所防災課、消防署、社会福祉協議会の方にご協力いただくなどもご検討ください。

第1回 防災教育にチャレンジしてみませんか!

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ)

災害救援ボランティア推進委員会 事務局 兼
防災教育チャレンジプラン実行委員会 事務局
都立高校教育支援コーディネーター

学校での防災教育活動や、取り組み事例について紹介します。


【自分たちに合った”防災教育”を探してみましょう!】

阪神・淡路大震災から15年もの月日が経とうとしています。この15年間、日本各地で様々な防災の取り組みが行われてきましたが、近年重要視されているのが震災の教訓を後世へとつなげる”防災教育”です。これからの社会を担う児童生徒にとって大変重要でありながら、時間的な制約や指導者不足などから、教育現場でなかなか取り入れづらく避難訓練がやっと、という状況だったのですが、ここ数年で大きな進展がありました。
今回は、皆さんが直面しそうな課題を例に、防災教育の事例をご紹介します。

Q.防災のための時間がなかなかとれないのですが、どうしたらいいですか?
A.1コマ(45分程度)でも出来る内容からはじめてみましょう!

こちら(防災教育チャレンジプラン事例集・新しいウィンドウが開きます)をご覧ください。45分からできる取り組みだけでも、こんなにたくさんの事例があります。119番や伝言ダイヤルの使い方、被災者のお話を聴くなど短い時間でも、重要なことを学ぶことができます。

Q.防災についてほとんど知らないのですが、指導できますか?
A.いろいろな教材を活用してみましょう!

たとえばこちら(各教科で学べる防災教育指導要領)はいかがでしょうか。
その他にも、カードゲーム形式の『クロスロード』などは、小学生~高校生、大学生と幅広く活用することができます。

Q.指導準備の時間もなく、講師を依頼する予算もないのですが・・・
A.市区町村防災課や最寄りの消防、ボランティア団体にお願いしてみましょう!

災害救援ボランティア推進委員会でも、コストパフォーマンスに優れた防災教育支援活動を行っています。また、防災教育チャレンジプラン実行委員会では防災教育に関する様々な取り組みを支援したり、実践事例を紹介したりしています。ぜひ、ご活用ください。

参考:防災教育活動の支援について(PDF.11KB)
防災教育チャレンジプラン
    内閣府防災情報のページ

「地震災害~正しい知識と備え」

阿部 勝征 (アベ カツユキ)
東京大学地震研究所教授(当時)

地震災害における正しい知識とその備えについて解説しています。


第1回テーマ:【日本の地震の現状】


第2回テーマ:【地震の予知】


第3回テーマ:【地震の予測と防災対策】

 ※音声コンテンツの提供は終了しました。

「ボランティアの基本と災害救援」

吉永 宏 (ヨシナガ ヒロシ)
常磐大学コミュニティー振興学部教授(当時)

ボランティアの語源からその思想や行為の歴史を始め、ボランティアとは何かについてを、経験を交えて解説しています。


第1回テーマ:【ボランティアとは】


第2回テーマ:【災害救援の本質】


第3回テーマ:【これからの課題】

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