防災ミニ講座

第26回 防災教育とアクティブ・ラーニング

第26回 防災教育とアクティブ・ラーニング
~学校・家庭・地域における効果的な防災啓発~

 

1 本記事について

本記事は平成28年1月に気象庁で開催された気象キャスター向け講習会『防災教育とアクティブ・ラーニング~より効果的な防災啓発に向けて~』における講義資料につい補足説明を加えたものです。なお、同様の記事は『先生のための教育辞典 EDUPEDIA』にも掲載されています。読者の方にとって【防災教育とアクティブ・ラーニングについての基本的な用語や考え方を理解し、学校・家庭・地域等での効果的な防災教育、防災啓発について考えるヒントになる】ことを目的に執筆しています。

本記事の構成は以下のとおりです。

 

  1. 本記事について
  2. 講義スライド
  3. アクティブ・ラーニングとは
  4. 目標を明確にする力
  5. 評価と改善の考え方
  6. 模擬授業
  7. 地域における効果的な防災教育
  8. まとめ

 

本記事は学校における防災教育の視点を中心に構成しています。地域における防災教育の実践については下記の記事をご参照ください。
●地域における防災教育の実践に関する手引きの解説と教材紹介

 

2 講義スライド

研修で使った講義スライドを「SlideShare」にアップロードしています。自由に閲覧・ダウンロードできますので、こちらを参考にしながら本記事を読み進めていただくと、分かりやすくなります。SlideShareを閲覧できない場合や、印刷したい場合はPDF版をご利用ください。

【外部リンク】気象キャスター向け講習会「防災教育とアクティブ・ラーニング講義資料
【外部リンク】気象キャスター向け講習会「防災教育とアクティブ・ラーニング講義資料PDF版
※PDF版をダウンロードできない場合はお手数ですがこちらのフォームからお知らせください。

 

3 アクティブ・ラーニングとは

まず冒頭に「アクティブ・ラーニング」についての理解を確認しました。「アクティブ・ラーニング」とは何か、ということについて説明できる人がいますか、と聞いたところ、どなたもいらっしゃいませんでした。何となくは分かるのだけど、具体的にと言われるとよく分からない。そんな方も多いと思います。用語の理解は研修の前提条件ですので、文部科学省と研究者の方による定義をそれぞれ見てみましょう。

 

3.1 定義の確認

文部科学省が平成24年8月28日付で公開している用語集によりますと『学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称』であると定義できます。アクティブ・ラーニングの実施によって認知的、倫理的、社会的な能力、教養・知識・経験を含めた汎用的能力の育成を図る、と続きます。また、京都大学高等教育研究開発推進センターの溝上氏によりますと『一方的な知識伝達型講義を聴くという受動的学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと』であると定義できます。もちろん、定義だけでは考えられないこともたくさんありますが、詳しくはアクティブ・ラーニングについて記載された他の記事などをご参照ください。

 

3.2 キーワードは「能動的な学習」

どちらの定義付けにも「能動的」という記載があります。つまり能動的な学びであることが、アクティブ・ラーニングにおいて欠かせない要素であるということです。では「能動的」とはいったいどういう学習のことでしょうか。ごく簡単に例示してみます。

 

Aくんの「主体的な学習」

例えば中学生のAくんが【防災】について学ぼうと思った時、気象災害について関心を持ち、自分で気象庁のサイトにアクセスして関連する用語を調べてノートに自分の考えをまとめたとします。これは「主体的な」学習と言えます。自らの行動や成果に対して、主体性や自発性が認められるためです。但し学習に「他者への積極的な関与」がないため「能動的な」あるいは「協働的な」学習とは異なります。

 

Bさんの「能動的な学習」

同じく中学生のBさんが、【防災】について学ぼうと思った時、班の仲間と一緒に自分の地域で起こりそうな気象災害を調べ、みんなで対策を考えて壁新聞を作って発表したとします。これは「主体的」であり、かつ「能動的」な学習と言えます。自らの行動や成果に対する主体性や自発性だけでなく、他者への積極的な、双方向の働きかけ=能動的な学習が認められるためです。

 

2人の違い

両者の違いは「他者との関わり」、溝上氏によるところの「認知プロセスの外化※詳しくはスライド参照」を伴うかどうか、ということです。Aくんの学習法が間違っているとかダメだとかいうことではありません。むしろAくんのように正しい基礎知識を習得しておくことが、能動的な学習の効果を高めることつながります。能動的に学習を進めたBさんがその学習に必要な知識を持たない、誤って理解している場合は、本来の目的を達成できない可能性があります。
防災教育に関しては、知識・技能の習得が直接命に関わる場合もありますし、また必要な知識の内容や難易度も様々なです。「主体的・協働的」を重視するアクティブ・ラーニングの実施において、学習テーマや発達段階に応じた基礎知識の習得と確認は必須と言えるでしょう。

細かく踏み込むといろいろ考えなければならないのですが、本記事及び筆者の理解では『アクティブ・ラーニング(特に防災教育における)とは、学習内容と目標の理解に必要な知識・技能があることを前提とした、能動的な学習方法のこと』というくらいでご理解いただければと思います。


(他者との関わりが生まれてはじめてアクティブ・ラーニングになる)

 

3.3 主な手法の分類

アクティブ・ラーニングの手法は大きく5つに分類されます。特徴は前述のとおり「1人では完結しない」ということです。体験学習型については、体験だけなら1人でもできますが、そこで得た学びや気づきを共有する過程を含むことで、アクティブ・ラーニングの手法の1つとして分類できます。

これらの分類は防災教育においても適用されます。いわゆる「防災教育推進指定校」や「モデル事業校」、あるいは何らかの支援事業等で受賞するような「優れた防災教育実践事例」を調べると、必ずこれらの類型に該当する授業・学習が行われています。それだけ、防災教育にとってアクティブ・ラーニングは親和性が高く、また必要性があると考えられます。

 

4 目標を明確にする力

防災教育研修などでもよくお伝えしていることのひとつに『メーガーの3つの質問』があります。

 

4.1 メーガーの3つの質問

 

  1. Where am I going ?(私はどこへ行くのか)
  2. How do I know when I get there?(到達をどのように知るか)
  3. How do I get there?(どのように行くか)

 

講演会や研修会で話を聞いていて「この人の言っていることはスゴイことなのだろうけど、結局何を一番言いたかったのか、よく分からなかったな」ということがあります。防災教育のプログラムや教材についても同様のことが言えます。

プログラムや教材、授業づくりにあまりに熱心になりすぎると「何を教えるためのものか」という目標が見えなくなることがあります。作業をしているときは「これが一番だ、これしか方法がない!」と思うのですが、他の人に教材や指導案を見て感想をもらったりすると「最初から●●は▲▲って、教えればいいだけじゃない?」みたいなことが起こってしまい「言われてみればそうかも…」とがっくりします。こうした事態は、メーガーの3つの質問ひとつひとつを常に意識することで防ぐことができます。

 

4.2 目標を明確にする力

アクティブ・ラーニングは学習者による思考、気付き、話し合いが中心です。「何のために」ということをはっきりさせておかないと、本来の趣旨とは全く関係のない話をして終わり、見当違いのことばかり考えてしまう、ということにもなりかねません。ですからアクティブ・ラーニングでも防災教育でも、まず身につけるべき授業力で大切なのは『目標を明確にする力』であると言えます。

 

4.3 防災教育の目的、目標の考え方

では、防災教育では具体的にどのように目的を考えればよいでしょうか。なお「目的」と「目標」は意図的に使い分けています。「目的」とは最終的に目指す、達成したいものやことであり、「目標」は目的を達成するための通過点、目安=標(しるべ)です。
ポイントは「目的を見据えたうえで、学習目標として設定する知識や技能は出来る限り細分化する」ということです。よくやってしまいがちなのが「命を守れる生徒になる」といった目標設定です。間違っているわけではないのですが、それは「目的」と言えます。考えるべきは「命を守れる生徒になるという目的にどのように至るか」であり、「どういう生徒が命を守れる生徒なのか」、「どんな知識を得て、どんな技能や態度を身に付けることで命を守るのか」ということを細分化した「目標」です。そして、授業、つまりアクティブ・ラーニング等はその「手段であり過程」になります。

下記の図は、僕が防災教育を考えるうえで意識している、細分化の考え方を示したものです。「命(いのち)」の段階を3つで整理し、学ばせたい知識や技能がどの段階に当てはまるものか、その前提として何が必要かの一例をまとめています。

理想的には「いのち(生命)、生活、人生」の順番にそれぞれで必要な知識や技能を身に付けていくことが望ましいのですが、興味関心の高いテーマや、分かりやすいテーマから取り組むことも学習成果につながりますので一概には言えません。いずれにしても、防災教育の授業者(教員、指導員)には、学ばせたい防災知識・技能が児童生徒等の「命を守る」ための目的にどのタイミングでどう結びつくのか、よく考えておくことが求められます。

 

4.4 学習課題と目標行動

目標を具体化させていくうえでのヒントをご紹介します。学習課題の整理と目標行動の明確化です。その防災教育で児童生徒に身につけさせたい知識や技能を、下記の「ガニェの学習課題の5分類」や「目標行動」に当てはめてみましょう。皆さんが伝えたいと考えている知識や技能はどのような課題に対するものであり、具体的にどのような行動に結び付けたいのかを整理することができます。

もし、こちらを見てもイマイチ整理ができない、よく分からないという場合は、前述した「細分化」に改めて挑戦してみましょう。複数の行動が混ざっていると、目標行動が分かりにくくなります。一度の授業で伝えるのはできればひとつに絞り込みたいものです。それでもうまくできない場合はお気軽にご相談ください。一緒に考えてみましょう!

 

5 評価と改善の考え方

効果的なアクティブ・ラーニングや防災教育・啓発には評価と改善が欠かすことのできない要素です。前述しているように、アクティブ・ラーニングは往々にして手段ばかりが注目され、目標設定が曖昧になってしまいがちです。その理由のひとつが「評価」について考えきれていないことにあります。アクティブ・ラーニングや一部の防災教育については、通常のペーパーテストのように正解不正解だけで考えることができません。正解と不正解の境界線が、条件によって変わってくるのが災害時です。だからこそのアクティブ・ラーニングなのですが、そうなってくると「どうやって目標達成を評価すればいいのか」という課題にぶつかります。

 

5.1 評価と評定

まず評価と評定について分けて考えます。大前提として「防災教育を一過性のイベント教育ではなく、一定の期間をもって行う」こととします。その場合に毎回の授業でフィードバックを行うために行うものが「評価」です。この段階では抽象的でも構いません。例えば「積極的に自分の意見を発言したり、議論に参加していたな」と思ったらA評価、そうした行動や態度が何らかの原因で見られなかったらB,C評価とし、次回以降に活かします。最終的には学期末等でその単元(防災教育)について「どの程度、目標を達成できたのか」を具体化させる必要があります。そこで、毎回の授業で行ってきた「評価」のデータを積み上げていきます。Aが●回、Bが●回、Cが●回、とその合計値を算出して平均値を割り出し、数値化(5段階等)するのが「評定」です。

防災教育もアクティブ・ラーニングも「その授業で良い成績を出す、態度を示すことができなかったからダメだ」というものではありません。その時、できなくてもそれが学びとなって次回以降に大きく伸びる可能性もあります。その意味でも、防災教育もアクティブ・ラーニングも、ある程度長期的な視点で考え、2回以上の授業の組み合わせのなかで評価・評定を行うことが理想的です。

 

5.2 授業改善のためのADDIEモデル

評価や評定も含めた授業を行ったら、次回以降に向けた改善を行います。ADDIEモデルは分析、設計、開発、実施、評価の5つの段階で授業内容等を改善するものです。学習者(児童生徒等)や学習目標等についての分析、授業や教材についての設計と開発(分けているのがポイント。いきなり作り始めるのではなく、「メーガーの3つの質問」などを踏まえた設計図を描いてから、開発に取り組む)、授業の実施、評価・評定とそれに基づく改善という流れです。効果的な防災教育のとアクティブ・ラーニングは、継続的な実施と改善によって初めて実現されます。出来る限りこうした「型」にはめ込んでブラッシュアップしていくと、抜け漏れが少なくなります。

 

6 模擬授業

もっとも身近でシンプル、学校・家庭・地域のいずれにおいても活用できるアクティブ・ラーニング対応の教材をご紹介します。教材のダウンロード及び詳細は下記の記事をご覧ください。
●プリント1枚で防災教育シリーズ『うさぎ一家のぼうさいグッズえらび』(EDUPEDIA版)

 

6.1 授業のコツ、ポイント

非常持出袋の内容を考える、という授業そのものは珍しいものではありません。よく取り組まれている内容です。この教材の特徴は、話し合いや思考のヒントになる「模擬家庭」を設定していることです。

「被災後でも家族が必要最低限の、健康を維持する生活ができる」という目的に向けて「非常持出袋に適切なグッズを選択し準備できる」という目標について適切な思考、話し合いを進めるためには「家庭や生活環境」を念頭に置く必要があります。

防災ハンドブックなどで紹介されているグッズは「最大公約数」、つまりあらゆる状況において、必要であると考えられるものです。ですが多くの場合は品目が掲載されているだけで、数量や重要性など個別に備えるために必要なことは記載されていません。それは家庭や生活環境により異なるためです。

 

本教材は仮想の家庭を共通事項として考えることで『家庭環境による備えの優先順位』を意識させます。赤ちゃんや高齢者など、配慮が必要な人への備えも大切であることも考えるきっかけとなります。そうした思考の過程を経てから目的、目標に沿って「自分の家庭、生活では何が必要か」を考えます。なぜ仮想の家庭を設定しているかというと、家庭環境は極めてプライベートな話題であり「自分の家庭環境を知られたくない」という思いから、話し合いに消極的になってしまうことも考えられます。アクティブ・ラーニングは「誰もが話しやすい環境づくり」も重要です。模擬家庭であれば、そうした心配をすることなく、自分の考えや意見を示すことができます。

家庭での話し合い結果をワークシートにして提出させるなどで評価します。その際も全部書き出すのは保護者も生徒も大変ですので、10個くらいに絞り込み特に備えておくべきものについて意識してもらうように促します。

 

7 地域における効果的な防災教育

地域における防災教育については、冒頭にご紹介した別記事をご参照ください。なお『地域における防災教育の実践の手引き』冊子は希望者に無償で配布しています。ご希望の方は一般社団法人防災教育普及協会ホームページより、必要事項をお知らせください。
【外部リンク】●地域における防災教育の実践に関する手引き無償提供について

 

8 まとめ

いかがでしたでしょうか。【防災教育とアクティブ・ラーニングについての基本的な用語や考え方を理解し、学校・家庭・地域等での効果的な防災教育、防災啓発について考えるヒントになる】という、読者の皆さまへのメッセージは伝わったでしょうか。

アクティブ・ラーニングの各手法は児童生徒の参加意欲や関心を促し、学習成果を高めるために効果的であることは間違いありません。だからこそ、目標設定や評価等の大事なポイントをしっかりと押さえつつ、児童生徒等と楽しみながら学ぶことが大事であると感じています。ぜひ積極的にチャレンジしていただき「こんなときにはどうしたらいいのか」や「こんなふうにやったら効果的だった」といったご意見やご感想などもぜひお寄せください。

長文最後までお付き合いいただきありがとうございました。

第25回 防災教育に使える教材⑤ 災害時のトイレアクション

第25回-防災教育に使える教材⑤-
災害時のトイレアクションを学ぼう

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) – 防災教育コンサルタント/社会福祉士-

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長

【サマリー】
災害時に重要な課題のひとつである「トイレ」。消火訓練や応急手当、家具転倒防止といった一般的な防災の話題に比べて、学ぶこと、考えることが少ないテーマでもあります。本教材は「日本トイレ研究所」様が高校生向けに作成したものを、許可を得て整理、公開しています。

 


 

1 記事の構成

本記事は、東京都における防災教育支援事業のご縁で、特定非営利活動法人日本トイレ研究所様の教材提供とご協力により作成しました。日本トイレ研究所様、ご協力に改めて御礼申し上げます。
特定非営利活動法人日本トイレ研究所

 

2 災害時のトイレは、命にかかわります

日 本トイレ研究所様が作成した説明資料をご確認ください。なお、資料、教材は高校生を対象として作成されていますが、中学生を対象とした授業でも使用できる ことを確認しています。小学校での利用に際しては、一部の用語について補足説明をする、教材を参考に別途プリントを作成するなど、必要に応じて補助資料を 用いてください。
地震発生時の安全行動や、家具の転倒防止、初期消火や応急手当、非常持出品などのテーマに比べて、災害時のトイレのことは学ぶ機会も考える機会も決して多くはありません。災害時のトイレ問題は、命にかかわる重要なテーマです。ぜひ、児童生徒、関係者の皆さんと災害時のトイレについて、積極的に考える機会を設けていただければ幸いです。

 

【災害時のトイレ説明資料】
setsumei_saigaitoilet[PDF]
※PDFでダウンロード、開くことができます。

 

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3 教材「災害時のトイレアクションを学ぼう」

【ワークシート(A3版、両面印刷、カラー印刷推奨】
kyouzai_saigaitoilet[PDF]
※PDFでダウンロード、開くことができます。

 

【災害時のトイレ説明資料】※前述と同様です
setsumei_saigaitoilet[PDF]
※PDFでダウンロード、開くことができます。

 

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    (写真:ダンボールトイレ作りにチャレンジする中学生)

 

4 指導案と振り返り

(1)指導案、指導スライドと振り返りシート
【指導案】
shidouan_saigaitoilet[Excel]
※Microsoft Excelでダウンロード、開くことができます。

【指導用スライド】
slide_saigaitoilet[PDF]
※PDFでダウンロード、開くことができます。

【振り返りシート】
hurikaeri_ver3.0[Word]
※Wordでダウンロード、開くことができます。

 

(2)指導上のコツ、工夫
ワークシートの特徴は、災害時にさまざまな困難に直面することが想定される方々を代表的な事例として『具体的なアクション=行動』を考えることにあります。従って、指導の際は「グループで議論する」、「自分で考える」ことも重要ですが、必ず『例えどんなに小さなことでも、具体的な行動=アクションに結びつけよう!』と伝えることが重要です。
指導内容(今回はトイレ)に関連して、印象に残ったエピソードや、その時の自分の感情、考え、行動などを生徒に伝えてあげると、より理解しやすくなります。
また、下記で紹介する「災害用トイレガイド」には災害時のトイレ問題理解の参考となる情報が掲載されていますので、事前に確認してください。

 

5 参考URL

▶ 災害用トイレガイド http://www.toilet.or.jp/toilet-guide/
▶ 東日本大震災3.11のトイレ http://www.toilet.or.jp/toilet-guide/pdf/311.pdf

 

第24回 防災教育に使える教材④ 災害時の判断とコミュニケーションを学ぼう!

第24回-防災教育に使える教材④-
災害時の判断とコミュニケーションを学ぼう

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) – 防災教育コンサルタント/社会福祉士-

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長

【サマリー】
災害時には様々な判断が迫られます。誰に聞いても答えが分からない問題も時にはあるでしょう。そうしたときは、一人で抱え込まず、身近な人や問題に関わる人たちとコミュニケーションをとり、解決策を探していく力が求められます。本教材は「判断力」や「コミュニケーション力」、「思考力」を能動的な学習で養っていくことを目的としています。

 


 

【記事の構成】

  • 正答のない問いに、児童生徒をどう向き合わせるか
  • みんなちがってみんないい、で終わらない
  • 結論を導き、結果を想像させる
  • 教材「災害時のコミュニケーションを学ぼう」
  • 指導案と振り返り
  • 事例「ある小学校での校長先生と先生達の議論」

 

【正答のない問いに、児童生徒をどう向き合わせるか】

 防災教育の難しさは「正答のない問い」があることです。避難生活で起きるトラブルなどがその一例です。同じ質問をしても、ある人のある状況にとって「正しい」ことが、別の人、別の状況では「正しくない」ことがあります。僕はよく「きのこの山」と「たけのこの里」を例に出します。どちらが好きか聞くと、意見が分かれます。
 そしてこう続けます。「では、自分とは違う意見の人は"間違っている"と思いますか」。児童生徒は困惑しながらも「別に間違ってはいないけど・・・」と答えてくれます。「じゃあ、その人ともしどちらかひとつ、選ばなきゃいけなくなったとしたら、どうする?」と続けます。児童生徒は「・・・話しあう?」と答えてくれます。
 まず「人には人それぞれの考え方があること。例えそれが自分とは違っても、間違っているわけではないこと。どちらか選ぶなら話し合い=コミュニケーションが大切であること。」を伝えて、正答のない答えを学ぶ意識付けをします。

 

【みんなちがってみんないい、で終わらない】

 気をつけなければならないのは「きのこの山もたけのこの里も好きでいい」を結論にしないことです。お菓子の話なら好き嫌いで構いませんが、授業のテーマは「災害時の判断とコミュニケーション」です。なので、児童生徒にも理解しやすい代表的な例を挙げてみます。
  「体育館が避難所になっているとき、救援物資のお弁当が届きました。でも、お弁当の数が足りません。ある人は、傷んでしまうから足りなくてもすぐ配ろうと 言いました。ある人は足りないと取り合いになって大変だから、足りないうちは配らないほうがいいと言いました。どちらの人が、正しいと思いますか。」
 "みんなちがってみんないい"とはいきませんね。配るか、配らないかを決めなくてはいけません。もし意見が違う人がいたら、お互いに話し合って、結論を出さなくてはならないのです。

 

【自ら考え議論し、結論を導き、結果を想像させる】
 → アクティブ・ラーニング等への応用

 防災教育で大切なことは、児童生徒に「行動する」ことの大切さを伝えることです。考え、話し合うことは重要ですが、それはあくまで手段であり目的ではありません。具体的に命 や生活、人生を守るため「行動する」ことが重要です。この授業で正答のない問いを他者と話し合いながら考え、結論を導くという過程を経験させます。そし て、その結論がどんな結果につながるのかを、班の中や個人で「想像=シミュレーション」させます。自分(たち)の行動の結果を想像しながら、問いに取り組むという過程を経験することが、児童生徒の学習成果につながります。
 
正答のわからない問題をテーマでありながら、児童生徒でも解決策を考えられるような問題を設定することで、児童生徒の能動的な学習を促すことができます。アクティブ・ラーニングや調べ学習、プロジェクト学習等に応用することができます。


【教材「災害時のコミュニケーションを学ぼう」】

この授業で使用する教材は以下のプリントだけです。問題によって用紙が分かれていますが、問題を1つに絞れば1枚のプリントで済みます。使い方にはいくつかのバリエーションがありますので、それぞれの場面で使いやすいようにご利用ください。Microsoft-Word形式ですので、ご自由に編集していただいて構いません。

【ワークシート】災害時のコミュニケーションを学ぼうver1.0
※MicrosoftWord2013で作成しています。クリックしてダウンロードしてください。

 

【指導案と振り返り】

この授業で使用する指導案です。こちらもWord形式ですので、ご自由に編集してご利用ください。

【指導案】災害時のコミュニケーションを学ぼうver1.0
※MicrosoftWord2013で作成しています。クリックしてダウンロードしてください。

 

<指導例>

  1. 班ごとにワークシートをランダムで配布して話し合い中心に行う
  2. ひとりひとりにワークシートを配布して、自分の考えをまとめさせる
  3. 夏休み前などに配付して、テーマに関して過去の災害事例などから調べ学習をさせる
  4. 宿題として配付して、家族の意見なども聞いてくる
  5. 全校集会の場でスライドや講話のなかで活用する

 

<振り返りシート>

【振り返りシート(発達段階不問)ver3.0
※小学校低学年~教職員、PTA研修まで対応する共通の振り返りシートです。

 

指導員向け事例紹介「ある小学校での議論」

  よく研修でご一緒する東日本大震災発災(当時)時、校長先生だった方は冒頭の「答えが分からない問題」に直面されたそうです。校長先生ご自身は関東圏の出身で 「校舎の上に逃げる」ことを考えており、マニュアルもそのようにしていたそうですが、地元出身の先生たちは「高台への避難」を強く意見したそうです。そこで「最終的な判断は校長が行う」と決めたすぐ後に、東日本大震災が起きました。校長先生は、あまりの揺れの大きさから、自分のこれまでの考えやマニュ アルを捨て「高台へ逃げる」ことを選択しました。そして、その決断に先生や生徒も従いました。結果として帰宅していた生徒と、教員1名が犠牲となってしま いましたが、それ以外の生徒や教員は助かりました。

 事前の備えにおいてもコミュニケーションは大切です。でも、その場になったら状況を判断して考える力、それを他の人に伝えて理解してもらう力が、いかに大切であることが分かるエピソードです。


教材の使い方やアドバイス、講師派遣などは随時承っています。お気軽にご相談ください。
【お問い合わせフォーム】

第21回 災害救援ボランティア講座10年と大学・学生への普及

第21回 災害救援ボランティア講座10年と大学・学生への普及

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) — 防災教育コンサルタント/社会福祉士—

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長

 

【サマリー】

筆者が東京地区(大学)での災害救援ボランティア講座に関わってから今年で10年となりました。この10年間、災害救援ボランティア講座を受講する学生(大学生~中高生や専門学校生も含む)が増え続けています。今や一年間で認定するセーフティリーダーの6割から7割は学生で、SL認定者総数の43%が学生(講座修了当時)という状況にまでなっています。学生SLがこれからの社会を担う一員となることで、日本の防災力向上につながることが期待されます。

 


 

▼この10年、災害ボランティア講座を受講する学生が増え続けている

筆者が担当している東京都内を中心とする大学での「災害救援ボランティア講座」ですが、年々開講数が増えています。平成16年度は年間10回だった講座全体の開講数が、平成26年度には19回とほぼ倍の開講数になりました。

これに伴って「講座修了生数」も年々増え続け・・・と言いたいところですが、そうでもありません。平成16年度の講座修了生総数は377名に対し、平成26年度は454名でした。10年前と比較して倍の回数、講座を開講しているにも関わらず、修了生数の伸びは20%程度に留まっているということであり、1回の講座の受講生数は減少している、ということを意味しています。

 

「東日本大震災が起きて、災害救援ボランティアについて知りたい人が増えたはずでは?」

と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。それは統計値でも裏付けられています。平成24年度、平成25年度はいずれも500名を越える修了生数となっていますが、平成26年度では500名に至りませんでした。

東日本大震災など、大きな災害が起きてからある程度の期間が経つと、災害救援活動や防災への社会的な関心は”相対的に”低下していく傾向にあります。そのことが、弊会の講座受講生数にも影響していると考えられます。

 

ただ、減少しているだけでなく大きく上昇しているポイントもあります。そのポイントは、今後数十年の防災対策や災害ボランティア活動にも良い影響をもたらすポイントです。何かというと【修了生数に占める学生(大学生、中高生・専門学校生)の割合】です。

具体的なデータを示すと、平成16年度では33%しかなかった学生の割合が、平成22年度には71%になり、平成26年度においても64%まで上昇しています。

災害救援ボランティアや防災に関する講座は様々なものが開講されていますが、これほど顕著に、かつ継続的に若者が参加し続けているのが、弊会講座の特徴でもあります。

 

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表1 講座修了生数に占める学生の割合(黄色マーク)

 

▼「大学で開講する」ことではなく「大学が開講する」ことに意味がある

こうした特徴を生み出したのは「大学が主催して講座を開講する仕組み」を弊会が持っていることにあります。専門的な知識や技能を有する外部団体が、大学が主催する災害救援ボランティア講座に協力し、大学は、講座を受講した学生や教職員がともに、平時の防災活動や災害時の協力体制構築をしていく仕組みです。

 

大学主催の講座を数多く実施している東京地区に関するデータを示します。

平成16年度の修了生数は、186名中91名が学生(5回開講)でした。

平成26年度の修了生数は、297名中227名が学生(12回開講)でした。

数値を比較すると修了生数が62.6%増、学生比率は27.5%増、開講数は7回増えています(神奈川地区、千葉地区は修了生総数、学生比率いずれも減少)。

 

累計値ですが、学生の講座修了生数が多い大学ベスト5は次のとおりです。

 

1位 明治大学 451名(参考リンク:明治大学駿河台ボランティアセンター
2位 専修大学 360名(参考リンク:専修大学講座実施記録
3位 中央大学 351名(参考リンク:中央大学講座実施報告
4位 法政大学 295名(参考リンク:法政大学ボランティアセンター
5位 富山大学 245名(参考リンク:富山大学災害救援ボランティア論

 

いずれの大学も大学やボランティアセンター等が中心となって、災害救援ボランティア講座を開講しています(学生、教職員が対象で一般の方は受講できません)。こうしたデータからも「大学が災害救援ボランティア講座を主催」していく仕組みが、多くの学生の参加につながっていることが分かります。受講する学生さんや教職員の方にとっても「大学が主催している」と思えることは、安心感にもつながります。

 

一般的に外部団体による講座は、修了後は該当団体での活動や参加を前提としたものが多いのが特徴ですが、弊会の大学における講座は前述のように「大学による、大学・学生・教職員のための」講座を目指しています。それは結果的に大学がある地域の住民や、帰宅困難者支援のためでもあります。

 

明治大学災害救援班専修大学SKV法政大学チームオレンジなど、各大学で講座を修了した学生が参加する学内活動も積極的に行われていますので、関心のある学生さんや教職員の方は、各リンクからぜひチェックしてみてください。

 

▼学生が災害ボランティアや防災を知ることは、日本の防災力向上につながる

災害はいつ起きてもおかしくない状況であることに変わりはありませんが、今後20年、30年に渡って社会を支えていくことになる学生・若者が、在学中にこうした講座を受けていただくことは、将来的な日本の、地域の防災力向上につながります。

 

大学主催による災害救援ボランティア講座の開催は、筆者のライフワークでもありますので、その意味でも、この10年間の活動のなかでこうしたデータを出せたことはうれしく思います。できれば、修了生の総数も増やしていきたいところですが、こればかりは少しずつ進めていくより他にありません。

人数も大事ですが、1回1回の講座、ひとりひとりの受講生、そして担当者の方を大切にしながら進めていくことが重要だと考えています。首都圏内の大学を中心に、下記のようなご提案もさせていただいております。

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図1 大学主催による「災害救援ボランティア養成講座」ご提案

 

今後も大学での災害ボランティア講座は新規開講が予定されており、継続的な実施が10年を超える大学も増えてきました。各大学の教職員の方、学生の方のニーズに合わせて開講することが可能ですので、もし関心のある方はぜひお気軽にご相談ください。

 


 

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第20回 防災教育に使える教材③ 災害状況を想像する力を身につけよう

第20回 防災教育に使える教材③
災害を想像する力を伸ばすプリント

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) — 防災教育コンサルタント/社会福祉士—

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長
第3回国連防災世界会議防災教育日本連絡会 事務局次長

【サマリー】

適切な防災対策や災害対応行動を検討するためには「災害状況」を想定することが不可欠です。本講で紹介する教材は、保育園・保育士に対する防災イマジネーションの形成を目的として、東京大学生産技術研究所の目黒先生による「目黒メソッド(後述)」を分かりやすくアレンジしたものです。

目黒先生・研究室の方には教材の研究・開発過程において、保育園等での実践に関わらせていただき、学校教育への応用についてもご協力いただきました。様々な学校等での授業や事後学習資料として用いた経験から、教材をご紹介させていただきます。

 


プリント1枚で防災教育「災害状況を想像する力を伸ばす」

適切な災害対策・防災活動のためには「災害によってどのようなことが起きるか」を想像する力が大切です。今回は「災害状況を想像する力を伸ばす」ことを目的とした教材をご紹介します。この教材は、東京大学生産技術研究所目黒研究室・東京都の協力により、同研究室が作成した教材「目黒巻」を中学校〜高校における防災学習用にアレンジしたものです。

 

なお、本記事に該当する内容は先生のための教育事典「EDUPEDIA」にも掲載されています。

防災一斉体験学習(目黒巻を用いた事後学習) EDUPEDIAホームページへ

 

目黒巻とは

東京大学の目黒先生が考えた「目黒メソッド」という災害状況想定から対策を考える手法を教材化し、その教材の形が巻物のように見えることから「目黒巻」と呼ばれています。災害後の状況を想像することで、災害前にどんなことが必要かを考えることが目的です。こちらのサイトよりダウンロードできます。

http://risk-mg.iis.u-tokyo.ac.jp/meguromaki/meguromaki.html

 

「災害状況を想像する力を伸ばす」授業で使う教材

指導要領、生徒用説明資料、授業用目黒巻は下記(EDUPEDIA)よりダウンロードできます。

・指導要領(事前に教員・指導員は確認してください) 添付ファイル

・生徒用説明資料(必要に応じて配付してください   添付ファイル

・防災授業「災害状況を想像する力を伸ばす」プリント 添付ファイル

3925

授業用プリント(表面)

 

授業の準備

①座席を班学習の形式になるように配置します。

②プリント(上記)と生徒用説明用紙を配布してください。

 

授業の流れ(学習目標提示と展開)

1.ワークシートについての説明例文

これからプリントを使って「自分が災害(地震や台風など水害でも可)にあった」ことを想像しながら、物語を書いてみます。プリントに「数分後」「数時間後」「数日後」と書かれていますね。その時間、自分がどんなことをしているか、まわりがどんな状況になっているかを書き込んでいきます。災害が起きた後のお話なら、どんな状況を想像してもだいじょうぶです。良いこと、悪いこと、びっくりすること・・・自由に想像して書いてみましょう!

【POINT】あまり難しく考えず、思いついたこと、想像したことを書くよう指導します。正しい状況を想像しようとすると、なかなか書けなくなってしまいます。但し、これまでに様々な防災教育を実践している場合は別です。その場合は学習成果を評価するという視点を持ち、学んだことを書くよう指導します。

 

2.プリントへの記入時間

まず、氏名と設定を記入させます。最初の記入(15〜20分)は個人で行わせ、班の中でお互いに話し合わせないようにします(後ほど話し合いの時間を設けるため)。あまり記入がはかどらない場合は、近くの生徒同士で話し合うことも許可します。

 

★状況設定例★

プリントの左上にある「状況」の設定例です。

震度:  7    ※阪神淡路大震災と同じくらいです

季節:  冬    ※とても寒い日です。

天候:  晴    ※雨の心配はなさそうです。

曜日: 水曜日

時刻: 12:30 ※お昼休みの頃です。

あなた:自分の名前と、家族のなかでの立場(姉・妹・兄・弟など)

家族:いつもの水曜日のお昼、家族がどこで何をしているか書きましょう。

例)父は**で仕事、母は自宅、姉は 大学にいる・・・など

設定は自由に変更することができます。生徒に学ばせたい状況を工夫して設定してください。生徒自身に設定させることも可能です。

【POINT】記入させる上でのフォロー、発問の例

・地震が起こったら、君たちはいつ、どこにいけばいいのだろうか。

・家族とはいつごろ連絡が取れるだろうか。

・電車やバス、電気、ガス、水道などはどうなっているだろうか。

 

3074

(プリントの記入例:小さな子どものいる母親の例、様々な課題が出てきます)

 

3.話し合いの時間

班の中でお互いにプリントを見せ合って、話し合いをします。「書けていない」人を責めたり、明らかにおかしなことを書いている生徒を批判したりしないよう、気をつけてください。もし、問題があったら「どうやったらそれが解決できるのか」という話になるよう、指導していきます。

 

4.まとめの時間(伝えていただきたいこと)

◆ 何か問題が起きたら、どうすれば解決できるか考えることが対策につながるということ。

◆ 設定条件を変えて、繰り返し行うことが災害を想像する力を高めてくれること。

◆ 発災後について考えたら、発災前にできることも併せて考えて、普段の防災に活かしていくこと。

◆ その他、先生方が体験学習等を通じて感じたことなどもお伝えください。

 

なお、記入したプリントは一度回収して、目を通していただくと生徒の災害に対する考え方などを読み取ることができ、とても参考になります。できれば、生徒には返却してあげてください。


最初は「ウチの生徒は防災について勉強もしてないし、こんなに書けるだろうか」と思われる先生が多いのですが、実際に書かせてみると、「思っていたよりもたくさん書いていたので驚いた」というご感想をいただきます。

 

もちろん、個人差がありますので書けない生徒もいますが、重要なことは「想像力をはたらかせてみる」ということにあります。書けない生徒も、話し合いを通じて「こういう考え方をすればいいんだ」と気付くことがあります。できれば、防災教育の導入時に一度実施していただき、防災教育のまとめの時期にもう一度実践していただくと、教育効果を実感できるかもしれません。

 

ぜひ、学校や地域等での防災教育にご活用ください。

 


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第19回 第3回国連防災世界会議と防災教育の普及

第19回 第3回国連防災世界会議と防災教育の普及

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) — 防災教育コンサルタント/社会福祉士–

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長 兼務

【サマリー】

いよいよ開会まで一ヶ月を切った『第3回国連防災世界会議』ですがそもそも「国連防災世界会議ってなに?」という方も少なくないかと思います。本稿では、国連防災会議についての簡単な解説と、弊会(防災教育普及協会等)が関わる防災教育の普及について、ご紹介します。

 


国連防災世界会議とは・・・

第3回国連防災世界会議仙台開催実行委員会ホームページでは、次のように紹介されています。

 

国連防災世界会議は、国際的な防災戦略について議論する国連主催※の会議であり、第1回(1994年、於:横浜)、第2回(2005年、於:神戸) の会議とも、日本で開催されています。第2回会議では、2005年から2015年までの国際的な防災の取組指針である「兵庫行動枠組」が策定されるなど、 大きな成果をあげています。

第3回国連防災世界会議では、兵庫行動枠組の後継枠組の策定が行われる予 定です。東日本大震災の被災地である仙台市で本件会議を開催することは、被災地の復興を世界に発信するとともに、防災に関する我が国の経験と知見を国際社 会と共有し、国際貢献を行う重要な機会となります。

(出典:外務省ホームページ)

※国連防災世界会議の開催事務局は、国連総会の決定により、国連組織である国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が務めています。

 

ざっくりとまとめるなら「世界各地で防災に携わる人たちが集まって、世界的な防災対策について議論して、こんなことをしようね!という行動を決めたりする会議」とでも言いましょうか。ざっくりしすぎな気もしますが。

 

どんなことをやるの?

大きく分けて「本体会議」と「パブリックフォーラム」に分けられます。本体会議は国連が主催となって、各国代表者が世界的な防災対策について議論する場で、関係者のみが参加するものです。パブリックフォーラムは、様々な団体が主催となって、期間中に各地で行うイベントです。こちらは一般参加が可能です。

一般の方は「パブリックフォーラム」から、関心のあるイベントに参加すると考えていただければよいでしょう。

パブリックフォーラム概要(公式サイトへ)

パブリックフォーラムそのものは、期間中ものすごい数のイベントが行われていますので、調べるのも一苦労です。上記リンク先から、パブリックフォーラムを検索することができます。テーマ、日程、形式、会場などで検索できますので、関心のあるテーマやスケジュールに併せてご参加いただければと思います。

 

なお、弊会(防災教育普及協会)が関わるパブリックフォーラムは以下のものです。

【3/14(土)9:30-16:50,東北大学『レジリエントな社会構築と防災教育・地域防災力の向上を目指して』


Development of a Resilient Community and Improving Disaster Education and Regional Disaster Preparedness

お申し込みは こちら(国連防災世界会議防災教育日本連絡会) から受け付けています。同時通訳用のレシーバーは数に限りありますので、お早めに。

 

防災教育の普及に向けて

上記の「レジリエントな~」はイベント名称としては『防災教育国際交流フォーラム』と呼んでいます。詳しくは 防災教育交流国際フォーラムチラシ をクリックしてPDFファイルをダウンロードしてご確認ください。

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こちらのフォーラムには、国内外の防災教育・安全教育の中心的な役割を果たされている先生方や団体などが集まり、実践事例などを中心とした報告をもとに「(防災教育)仙台宣言」をとりまとめることになっています。

 

防災教育の普及・啓発は東日本大震災前からも課題となっていました。こちらの記事でも少し触れましたが、時間数の確保、防災教育に関するノウハウの不足(特に教育現場に浸透しきれていないこと)などがあり、優れた実践事例はいくつも見られるようになってきたものの、裾野が広がらないという現状がありました。

 

防災教育交流国際フォーラムの開催、そして「(防災教育)仙台宣言」の採択と発表は、こうした課題に対して、関係省庁や大学、団体、個人の枠を超えて防災教育の普及啓発と推進に取り組むことを明確に打ち出す機会となります。すぐに解決される課題ではありませんが、学習指導要領の改訂などもあって、少しずつ解決への道を歩んでいくことは間違いありません。

 

文字通り宣言は国内外の防災教育に関わる団体が集結するオールジャパンの宣言になります。今を生きる、そしてこれからの社会を生きる全ての人たちに必要な「防災教育」のために力を合わせていこう、という強いメッセージが込められた内容になることでしょう。

どのような内容になるかは、ぜひ会場にきてご確認いただきたいと思います。

 

防災教育を「自分のこと」として考えてほしい

防災教育は、学校の中だけの話ではありません。災害は子どもたちが学校にいないときにも起こります(児童生徒の在学時間をベースに考えると、学校外で被災する可能性のほうが高くなります)。自宅にいれば家族で考えなければならない問題ですし、お店や公共交通機関にとっても子どもたちをどう守るかというのは大きな課題となってきます。

 

この機会にぜひ防災教育を「自分(たち)のこと」として考えてほしい、と願っています。すぐに防災を誰かに教えろというわけではありません。ただ、自然災害の多い日本という国に生きる一人の人間として、災害の教訓を学ぶこと、伝えることの大切さを、考えていただきたいということです。

 

3月の国連防災世界会議、そして様々な団体による防災・減災、防災教育の取り組みはこれからの日本の防災に大きな影響を与えることになります。防災に関係のある方はもちろんですが、あまり関係のない方も、この機会に観光も兼ねてご来場いただければ幸いです。

・・・ただ、今からだと東北圏以外の方は宿や交通機関が厳しいかもしれませんが(苦笑)

 


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第18回 地域防災力UPシリーズ② ぼうさい探検隊でマップづくり

第18回 地域防災力UPシリーズ② ぼうさい探検隊でマップづくり

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) — 防災教育コンサルタント/社会福祉士–

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長 兼務

 

【サマリー】
 地域防災力UPシリーズ①では、災害図上訓練-DIG-で地域の災害危険箇所や防災資源を確認しました。次はもう一歩踏み込んで実際の防災行動につなげていく必要があります。そこで、各地域で行われている「防災マップづくり」をご紹介します。防災マップづくりのノウハウは様々ですが、本講では代表的な事例として『ぼうさい探検隊』についてご紹介します。

 


 

ぼうさい探検隊とは・・・

「ぼうさい探検隊」とは、子どもたちが楽しみながらまちにある防災・防犯・交通安全に関する施設や設備などを見て回り、身の回りの安全・安心を考えながらマップにまとめ発表する、実践的な安全教育プログラムです(日本損害保険協会ホームページより)

子どもたちと楽しみながら取り組むことが重要なポイントです。大人ではあまり意識しない「ここはこうなったら危ないかな」「ここは暗くなったら怖いな」といった点をどんどんチェックしてくれます。また、どうしても高齢化してしまいがちな防災活動に、ぼうさい探検隊を通じて児童生徒や保護者が参加することで、より幅広い視点で地域防災を考えることができます。

ぼうさい探検隊を実施してつくる「ぼうさいマップ」を集めたコンクールなども開催されており、2000枚以上のマップが集まる、日本で最も普及している防災教育プログラムのひとつです。

 

スクリーンショット 2014-12-15 06.08.46(防災マップのイメージ、ぼうさい探検隊実施マニュアルより)

 

ぼうさい探検隊のプログラム

ぼうさい探検隊のプログラムは大きく分けて3つの段階に分かれています。

(1)まちなか探検をする

子どもたちの視点でまちを探検して、防災・防犯・交通安全に関する様々な施設や設備を発見します。事前に消防署や防災課、自治会や防災会などと調整し、チェックポイントを設けることもあります。

(2)マップをつくる

街区地図などを用いて発見したこと、気づいたことを模造紙に記入、整理していきます。書き方は子どもたちの自由な発想に任せていきます。どうしてもうまくいかないときは、保護者やボランティアなどがサポートします。

(3)発表する

マップができあがったら、自分たちで発見したことや気づいた点などについて発表します。チーム名を決めたり、参加者の名前を書いたりすることで「自分たちのマップ」という意識を持たせます。

 

ぼうさい探検隊の実施スケジュール例(4時間・半日程度)

00:00~00:20【20分】 チーム分けや作戦会議、テーマやルートの確認をします。

00:20~01:10【50分】 まちなか探検、子どものペースに併せてまち歩きをします。

01:10~01:20【10分】 休憩、デジカメで撮影した写真を印刷しておきます。

01:20~03:30【130分】マップ作成、縦横を決め、役割分担をしながら作業します。

03:30~03:55【25分】 チーム毎にマップを発表

03:55~04:00【05分】 指導者からまとめ

 

ぼうさい探検隊のリーダー養成

ぼうさい探検隊を実施する児童生徒や教職員、保護者と共に、より安心して子どもたちがマップづくりに専念できるよう、サポートしていくのが「ぼうさい探検隊リーダー」です。弊会では、災害救援ボランティア講座の開講に併せて日本損害保険協会より講師を派遣していただき、ぼうさい探検隊リーダー養成講習も兼ねたプレゼンテーションを行っていただいています。

 

また、ぼうさい探検隊を実施したい地域や学校、公民館などのご担当者や参加者(特に教職員や保護者、ボランティア等)を対象とした講習についても、日本損害保険協会と連携して実施していますので、お気軽にご相談ください。

 


 

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第17回 地域防災力UPシリーズ① 災害図上訓練-DIG-で地域を知ろう

第17回 地域防災力UPシリーズ① 災害図上訓練-DIG-で地域を知ろう

宮﨑 賢哉(ミヤザキ ケンヤ) — 防災教育コンサルタント/社会福祉士–

災害救援ボランティア推進委員会主任/(社)防災教育普及協会事務局長 兼務

 

【サマリー】
 私たちがくらしている
「地域」や「まち」には、見落としてしまいがちな防災・防犯上の危険がかくれています。土砂災害や風水害などでは、そうした見落としがちなポイントや、「ここで何かあったらこわいな・・・」と思いながらも、具体的な対策がとれずにいたところで、大きな被害が発生してしまう可能性があります。そこで、本講では『地域防災力UPシリーズ』として全3回でご紹介します。

 


 

災害図上訓練-DIG(Disaster Imagination Game)-は、大きめの地図にビニールシートなどをかけて、マーカーで色塗りをしながら防災資源の洗い出し、災害危険箇所の発見、地域防災活動のあり方などを考える、訓練様式のひとつです。

 

厳密には様々な手法やアプローチがあり、細かな分類の考えられるプログラムですが、まずはそのようにご理解いただくのが分かりやすいです。そして、広島や京都、兵庫などで発生したの水害や土砂災害から命を守るためには、とても大切な訓練です。水害や土砂災害のように地域性の高い(地域の状況に大きく左右される)災害から命を守るポイントはふたつあります。

 

ひとつ『自分が住む地域・地理のことにどれだけ関心を持ち、知っているかどうか』

ふたつ『水害・土砂災害等も含め、気象災害の基礎知識を持っているかどうか』

 

地域の防災資源や、災害危険箇所、避難ルートなどをシールやマーカーで書き出していくDIGは、ひとつめの地域や地理のことについて関心を持ち、知るための手段として役立ちます。灯台下暗しと言いますが、地域のことを知っているようで知らないことはよくあります。水害や土砂災害は地域の歴史なども関わりますので、いろいろな方の話を聞いてみたら「そんなこともあったのか」と気付くことが多いのもDIGの特徴です。

 

14894634257_d7be99db84_z(写真:まずはみんなで地図を囲んでいろいろ考えてみることから)

 

訓練としての効果は高いDIGですが、その反面きちんとやろうとすると主催者、参加者、指導者それぞれに負担も多く準備が必要です。テーマ設定、地域選び、大きな地図、ビニールシート、マーカー、ふせん…主催者側が準備するものがたくさんあります。

 

14894488209_09ea8fd22b_z(写真:ビニールシート、マーカー、シールなどを用意します)

 

地域のことに詳しい人ばかりではないので、何も分からないと書き込みペースが遅くなることもあります。また、参加者が想定災害について何も分からない状態だと、災害危険箇所の想定ができなかったり、誤った想定になったりします。作業に慣れていない参加者の方々がいれば、一度にたくさん書き込むような指示を出すと「そんなに出来ないよ!」とか「何をどう書いたか分からなくなった」なんてことにもなりかねないので、指導側の力量も大きく影響します。このようにハードルは高いけれど、その分、正しく行えば(特に水害や土砂災害対策に)効果を発揮できる訓練と言えます。

 

大雨警報や土砂災害警報の発報基準、避難勧告や避難指示、がけ崩れや土石流、地すべりの違いなど、水害や土砂災害から身を守るために知るべきことはたくさんあります。DIGはそうした基礎知識の学習と並行して行うことで、より高い効果が期待されます。

 

地域で水害・土砂災害が想定される方は、役所や学校、社会福祉協議会、ボランティア団体などと連携して、積極的にチャレンジされることをオススメします。

 

★★ ご希望の方には地域で実施した際の資料・スライド等をご提供します ★★

こちら からお問い合わせください。

 

写真協力:C大学ボランティアセンター、H市社会福祉協議会、大学生・H地区の皆様

第16回 「防災教育実践50選」をもっと活用する4つのポイント

※この記事は「EDUPEDIA」投稿記事の転載です。表示内容についてはEDUPEDIA記事に準じますが、本講掲載にあたり一部を編集しています。オリジナルはこちらの記事をご覧ください。


 

※この記事は宮﨑賢哉様(防災教育コンサルタント)とEDUPEDIA編集部の協力により作成しました。防災教育50選については こちら(http://goo.gl/aXvvmI)からご覧ください。

執筆:宮﨑賢哉 防災教育コンサルタント/社会福祉士

 

1 はじめに

2015年3月14日から18日にかけて、仙台市で「第3回国連世界防災会議」(http://www.bosai-sendai.jp/)が開催されます。特に「防災教育」は、日本が世界に誇るコンテンツとして注目を集めています。これまでに防災教育チャレンジプラン(http://www.bosai-study.net/top.html)やぼうさい探検隊(http://www.sonpo.or.jp/protection/bousai/index.html)、ぼうさい甲子園(http://npo-sakura.net/bousai-koushien/)といった官民が展開する防災教育支援事業により、優れた防災教育実践事例が生み出されてきました。

 

しかしその一方で「防災教育が必要なことは分かるのだけど、なかなか実践する時間がない」、「実践しているが、それが本当に正しいのか分からない」といった意見も少なくありません。本記事をご覧になっている方の中にも、防災教育について課題をお持ちの方も多いことと思います。

 

これらの課題を生み出している最大の要因が「標準化」です。

 

例えば自動車を運転するとき、誰もが同じ交通ルールに則って運転することで、事故が起きにくくなっています。特定の誰かが「すごい運転テクニック」を持っていたとして、そのテクニックを使えば早く、安全に目的地に到着できるようになるとしましょう。そして、そのテクニックが様々なところで表彰・評価されたとします。では、誰もがそのテクニックを身に付けることができるでしょうか。無理ではないかもしれませんが、時間も労力もかかり「自分には無理だ」と、多くの人が身に付けることを諦めてしまうことでしょう(正確には多くの人が諦めてしまうほどのテクニックだからこそ「すごい」と思われるのですが)。

 

「すごいことは分かるけど、あの人だからできることなんだよね」という気持ちになります。

これは「すごい運転テクニック」が「すごい」ことに間違いはないけれど「標準化」されていないということの例です。

赤信号で止まる、一時停止する、曲がるときはウィンカーを出す。これらは「すごくはない=当たり前」のことですが、ほぼ完璧に「標準化」されているため、いつ、どこで、誰が車に乗ってもできることです。

 

つまり、防災教育も「優れた教材」「優れたプログラム」を集めれば「優れた実践」が生まれるというものではない、ということです。

多くの教材やプログラムが属人化している現状があるため「あの人(あの学校)にはできるけど、私には無理」というイメージが拭いきれない内容も多いのです。結果として、防災教育の普及は出来るところはどんどん出来るけれど、なかなか進まないところはいつまでも進まず、差が大きく開いていくことになります。

質の高い防災教育を充分に受けられる児童生徒と、受けられない児童生徒が生まれる。

 

それはつまり災害時における「命のリスク」に差が生まれるということです。その差を埋めるのが「標準化」であり、EDUPEDIAがまとめた「防災教育実践50選」は防災教育の標準化につながる可能性を秘めたコンテンツとなっています。

本記事ではその「防災教育実践50選」を標準化の視点から4つのポイントで整理しました。防災教育実践に関心のある皆様のご参考となれば幸いです。

 

ポイント1 EDUPEDIA「防災教育実践50選」の構成をチェック
ポイント2 児童生徒の発達段階をイメージ
ポイント3 学習テーマを具体的に設定
ポイント4 フィードバックを行う

 

2 ポイント1 EDUPEDIA「防災教育50選」の構成をチェック

防災教育50選は大きく分けて次の方々の協力で構成されています。構成バランス(教材等の提供数)と作成者の特徴、教材やプログラムの内容を確認します。

釜石市教育委員会 ×27

「釜石市津波防災教育」は小学校・中学校段階での具体的な学習指導案と教材が掲載されています。
津波危険地域の学校では、その地域の教育委員会等が提供する副教材等と比較しながら、参考にすることができます。
ただし、あくまで「釜石市」の教材であるため、汎用性に欠けてしまうのが課題です。
実際の授業場面で利用するためには、映像や各種資料、歴史その他、地域の実情に応じた授業準備が必要です。

 

●一覧

【釜石市津波防災教育】指導の手引きまとめページ
http://goo.gl/YVTGk3

【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(1) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/447
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(2) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/448
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)Ⅰ‐C地震・津波を知る‐避難の必要性を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/449
【釜石市津波防災教育】(1・2年生) Ⅱ-C(1) 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/421
【釜石市津波防災教育】(1・2年生) Ⅱ-C(2) 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/450

【釜石市津波防災教育】(3・4年生) I -A 地震・津波を知る-地震・津波のおき方を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/451
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅰ‐B 地震・津波を知る津波の特徴を知る
http://edupedia.jp/entries/show/452
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-A 対処行動を知る-地震から身を守る方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/437
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-B 対処行動を知る-津波からの避難方法を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/461
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅱ‐C 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る
http://edupedia.jp/entries/show/453
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(1) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/435
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(2) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える(防災マップ作り)-
http://edupedia.jp/entries/show/436
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅲ‐A地域の津波被害を考える−過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/434
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅲ-B 地域の津波被害を考える-津波から地域を守る対策を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/428
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅳ-A 先人の経験に学ぶ-体験者から話を聞く-
http://edupedia.jp/entries/show/420

【釜石市津波防災教育】(5・6年生) Ⅰ-A 地震・津波を知る-地震・津波のおき方を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/429
【釜石市津波防災教育】(5・6年生) I-D(1) 地震・津波を知る-津波の様々な特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/430
【釜石市津波防災教育】(5・6年生) I-D(2) 地震・津波を知る-津波の様々な特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/431

【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅰ-A 地域の津波被害を考える-過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/454
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅰ-E 地震・津波を知る-地震の揺れの特徴を理解する-
http://edupedia.jp/entries/show/455
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(1) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/456
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(2) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/458
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-F 対処行動を知る-避難できない人間の心理を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/457
【釜石市津波防災教育】(中学生)Ⅲ-B 地域の津波被害を考える−津波から地域を守る対策を知る
http://edupedia.jp/entries/show/462
【釜石市津波防災教育】(中学生)Ⅳ-C 先人の経験に学ぶ−語り継ぐ責任
http://edupedia.jp/entries/show/463

 

石川孝茂先生(日本女子大学) ×15

「地しん防災ブック」を使った16時間構成の学習指導案です。
まとめ手引きがあり、ワークシートその他もホームページからダウンロードすることができます。
小学校高学年を対象としていますが、内容が網羅されているため中学校や内容を工夫すれば高校でも利用できそうです。
内容が盛りだくさんであるため、16時間全てを使った授業実践は難しいかもしれません。
資料編でテーマ別に整理していますので、児童生徒に学ばせたい内容に応じて、ピックアップした授業準備が必要です。

 

●一覧

<地しん防災ブックによる16時間の連続した学習教材>

【地しん防災ブック】指導の手引きまとめページ(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://goo.gl/zVRvhg
防災教育への動機付け 1-2/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/954
学校での避難行動 3/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/955
自宅での避難行動 4/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/956
避難行動の順序 5/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/967
避難場所・避難経路を考える 6/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/970
緊急地震速報についての学習 7/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/969
家族会議と災害伝言ダイヤル「171」についての学習 8/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/961
自宅危険度チェック 9/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/952
防災袋についての学習 10/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/950
応急手当・消火器についての学習 11-13/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/955
家族を守る防災新聞 14-16/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/959

 

<単独での学習教材>
防災袋を作ってみよう(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/958
伝言ゲームとバケツリレー(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/957
防災マップの作成(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/951

 

佐藤謙二先生(東日本大震災発生時、中学校教諭)×9

実際に被災された経験からの資料です。
こちらは防災教育50選に含まれていますが「防災管理」に近い内容です。教職員が事前にどのような備え、心構えをしておくべきか、災害時におきる課題にどのように対応していくのかを学ぶ教材として参考になります。教員研修や、学校防災マニュアル・避難所運営マニュアル等の検討の際に有効な教材と言えるでしょう。
中学生、高校生以上であれば、資料を印刷して体験談や気づきそのものを学習教材として扱い、自分なりの考えや意見をまとめさせるといった使い方も想定されます。
いずれにしても「教員自身が活用するための素材」という特徴があります。

 

●一覧

[震災後の学校対応の状況]

岩手県中学校の地震発生時の状況と対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/lUs9Qp

 

[学校防災マニュアル等の参考に]
東日本大震災経験者の作った防災チェックリスト(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/AltgVB
東日本大震災の時、避難所にあればよかった20の物品(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/Fy3Twu
避難所運営への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/BrHVry
ルールへの対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/QOKZju

 

[児童生徒の心のケア]
被災した生徒のメンタル面・滅失品への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/0eXdSU
被災した生徒のストレスへの対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/gU6Zvq
被災した生徒と被災しない生徒の温度差への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/WD7cJ5

 

[復興に向けて]
震災を通した生徒の成長(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/0SA9yh

震災・学校支援チームEARTH ×3 

阪神・淡路大震災の教訓をもとにしたハンドブックの紹介です。
こちらも佐藤先生と同様に「防災管理」に近い印象を受けます。教員研修等の参考資料として扱うのが良いでしょう。もし、防災教育に応用するのであれば、防災グッズに関する学習のときなどの事前・事後資料として扱うなどが考えられます。中学生以上、ある程度の時間をかけることができるのであれば、ハンドブックをベースに「学校(クラス)オリジナルのハンドブックを作ってみよう!」なども学習効果が高いでしょう。

 

●一覧

マイイエローページ(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/Zk88No
平時の活動(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/I5JdnS
災害派遣時の活動(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/Nyyv8t

 

八巻寛治先生(小学校教諭ほか)×1

心のケアに関する内容です。こちらは防災教育・防災管理いずれにも関係しますが、比較的防災管理に近いと言えます。
セルフケアについては児童生徒にできる部分と、教職員が配慮しなければいけない部分があります。
教員研修等でしっかりと学んだうえで、生徒に対し授業実践を行うことが必要になります。

●一覧

「震災後の心を支えるエクササイズ」八巻寛治先生
http://goo.gl/P7qAtL

濱口圭子先生(東久留米市立第二小学校)×1

社会科の学習の一環として防災教育を取り上げられています。
科目に応じた防災教育・安全教育は注目されているところです。具体的な指導案や参考URL等も掲載されています。

●一覧

自然災害の防止
http://goo.gl/HB7k5Q

 

それぞれの科目に応じた防災教育プログラムは神戸学院大学等でも公開されていますので、こちらもぜひご覧ください。

神戸学院大学防災・社会貢献ユニット「防災教育キット」
http://goo.gl/1Rzi7T

 

防災教育50選の構成を確認できましたか。
防災教育(授業での使用)については釜石市教育委員会、石川先生から。
教員研修や学校防災マニュアル等の検討、教材作成の参考資料に佐藤先生、八巻先生、濱口先生、EARTHの資料を使う。
そう整理していただくと良いでしょう。

 

3 ポイント2 児童生徒の発達段階をイメージしよう

防災教育50選を活用する次のステップは「児童生徒の発達段階をイメージしよう」です。
教職員の方であれば「そんなことは当たり前だ」と思われるかもしれませんが、ここでお伝えしたいのは「小学生は何を学ぶ必要があるか」という、限定された期間を示した発達段階ではなく、その子どもが小学校を卒業し、中学生になり、高校生になり、大学生・社会人となっていく「成長過程において、小学校のうちに何を学ぶ必要があるか」ということです。

 

▼防災リテラシーを高める4つの分野

京都大学防災研究所の林春男先生による整理では、防災リテラシー(防災に関する基礎的な理解力、能力のこと)を高めるためには大きく4つの分野からのアプローチが考えられます。

 

自分たちがいま直面しなければならない敵の姿をはっきりさせること【自然科学】
被害を予防すべきものを選ぶこと、それを確実に実現する技術、資金、時間【工学】
被災を乗り越え被害から回復できる強さ、そのための教え、ノウハウ、助け合い【社会科学】
これら3つの力を使って問題を解決する力【生きる力】

 

つまり「本当に防災について身に付けるためには、勉強しなければならないことがたくさんある!」ということです。
小学生が小学生のときに防災教育を受ければ身に付く、というものではありません。体系的で継続的な教育訓練、具体的には義務教育における基礎(必修)教育、高等教育における発展(単位化)などが求められます。

 

▼文科省による防災教育学習目標

では、文部科学省はどのような学習目標を出しているのでしょうか。

◆ 発達段階に応じた防災教育(到達目標)

ア 自然災害等の現状、原因及び減災等について理解を深め、現在及び将来に直面する災害に対して、的確な思考・判断に基づく適切な意志決定や行動ができる。
イ 自身、台風の発生等に伴う危険を理解・予測し、自らの安全を確保するための行動ができるようにするとともに、日常的な備えができる。
ウ 自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加・協力し、貢献できる。

 

●高校段階

安全で安心な社会づくりへの参画を意識し、地域の防災活動や災害時の支援活動において、適切な役割を自ら判断し、行動できる生徒

●中学校段階
日常の備えや的確な判断のもと主体的に行動するとともに、地域の防災活動や災害時の助け合いの大切さを理解し、すすんで活動できる生徒

●小学校段階
日常生活の様々な場面で発生する災害の危険を理解し、安全な行動ができるようにするとともに、他の人々の安全にも気配りできる児童

●幼稚園段階
安全に生活し、緊急時に教職員や保護者の指示に従い、落ち着いてすばやく行動できる幼児

 

理想的な目標としては理解できますが「どうしたらそのような児童生徒であることを評価できるのか」と考えるとなかなか難しい目標です。

 

▼学習成果と目標行動に応じた教材・プログラムの選択

文科省による防災教育学習目標をベースに、実際の教育現場でも扱えるよう教員も含めた3つの段階と7つの具体的な目標行動にまとめ、それぞれに対応する教材・プログラムを整理しました。

 

教職員・管理職段階(学校安全、防災管理を重点に置く)
①災害時における学校の役割を理解し、児童生徒の命を守るための対策・対応ができる教員(管理職)

中学校・高校段階(主体的行動、地域連携に重点を置く)
②災害への備えについて正しく説明できる生徒
③主体的に、的確な安全確保行動がとれる生徒
④学校・家庭・地域の防災活動で、自分に何ができるかを理解し行動できる生徒

小学校低学年~高学年段階(継続・反復による基礎知識、行動の習得に重点を置く)
⑤日常の場面の災害の危険を正しく説明できる児童
⑥指示に従い、的確な安全確保行動がとれる生徒
⑦災害時の他者の心情や状況を理解し、配慮ができる児童

 

★教職員・管理職 段階

①災害時における学校の役割を理解し、児童生徒の命を守るための対策がとれる教員(管理職)
【地しん防災ブック】指導の手引きまとめページ(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://goo.gl/zVRvhg
【釜石市津波防災教育】指導の手引きまとめページ
http://goo.gl/YVTGk3
岩手県中学校の地震発生時の状況と対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/lUs9Qp
東日本大震災経験者の作った防災チェックリスト(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/AltgVB
東日本大震災の時、避難所にあればよかった20の物品(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/Fy3Twu
避難所運営への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/BrHVry
ルールへの対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/QOKZju
被災した生徒のメンタル面・滅失品への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/0eXdSU
被災した生徒のストレスへの対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/gU6Zvq
被災した生徒と被災しない生徒の温度差への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/WD7cJ5
震災を通した生徒の成長(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/0SA9yh
マイイエローページ(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/Zk88No
平時の活動(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/I5JdnS
災害派遣時の活動(震災・学校支援チームEARTHハンドブック)
http://goo.gl/Nyyv8t
「震災後の心を支えるエクササイズ」八巻寛治先生
http://goo.gl/P7qAtL

★中学校・高校 段階

②災害への日常的な備えを正しく説明できる生徒
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅲ‐A地域の津波被害を考える−過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/434
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅲ-B 地域の津波被害を考える-津波から地域を守る対策を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/428
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅰ-A 地域の津波被害を考える-過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/454
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅰ-E 地震・津波を知る-地震の揺れの特徴を理解する-
http://edupedia.jp/entries/show/455
自宅危険度チェック 9/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/952

 

③主体的に的確な安全確保行動がとれる生徒
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-A 対処行動を知る-地震から身を守る方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/437
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-B 対処行動を知る-津波からの避難方法を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/461
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(1) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/456
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(2) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/458
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-F 対処行動を知る-避難できない人間の心理を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/457
応急手当・消火器についての学習 11-13/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/955
伝言ゲームとバケツリレー(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/957

 

④学校・家庭・地域の防災活動で、自分に何ができるかを理解し行動できる生徒
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅱ‐C 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る
http://edupedia.jp/entries/show/453
学校での避難行動 3/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/955
自宅での避難行動 4/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/956
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(1) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/435
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(2) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える(防災マップ作り)-
http://edupedia.jp/entries/show/436
避難行動の順序 5/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/967
避難場所・避難経路を考える 6/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/970
防災マップの作成(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/951
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅲ‐A地域の津波被害を考える−過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/434
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅲ-B 地域の津波被害を考える-津波から地域を守る対策を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/428
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅳ-A 先人の経験に学ぶ-体験者から話を聞く-
http://edupedia.jp/entries/show/420

★小学校低学年~高学年 段階

⑤日常の場面の災害の危険を正しく説明できる児童
自然災害の防止
http://goo.gl/HB7k5Q
防災教育への動機付け 1-2/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/954
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(1) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/447
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(2) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/448
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)Ⅰ‐C地震・津波を知る‐避難の必要性を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/449
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) I -A 地震・津波を知る-地震・津波のおき方を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/451
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅰ‐B 地震・津波を知る津波の特徴を知る
http://edupedia.jp/entries/show/452
【釜石市津波防災教育】(5・6年生) Ⅰ-A 地震・津波を知る-地震・津波のおき方を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/429
【釜石市津波防災教育】(5・6年生) I-D(1) 地震・津波を知る-津波の様々な特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/430
【釜石市津波防災教育】(5・6年生) I-D(2) 地震・津波を知る-津波の様々な特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/431

 

⑥指示に従い安全確保行動がとれる児童

【釜石市津波防災教育】(1・2年生) Ⅱ-C(1) 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/421
【釜石市津波防災教育】(1・2年生) Ⅱ-C(2) 対処行動を知る-学校や自宅周辺の避難場所を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/450
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-A 対処行動を知る-地震から身を守る方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/437
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-B 対処行動を知る-津波からの避難方法を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/461
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(1) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/435
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-D(2) 対処行動を知る-様々な避難方法を考える(防災マップ作り)-
http://edupedia.jp/entries/show/436
緊急地震速報についての学習 7/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/969

 

⑦災害時の他者の心情や状況を理解し、配慮ができる児童
家族会議と災害伝言ダイヤル「171」についての学習 8/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/961
防災袋についての学習 10/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/950
防災袋を作ってみよう(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/958
家族を守る防災新聞 14-16/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/959
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅳ-A 先人の経験に学ぶ-体験者から話を聞く-
http://edupedia.jp/entries/show/420
「震災後の心を支えるエクササイズ」八巻寛治先生
http://goo.gl/P7qAtL

 

小学生までは「きちんと指示を聞いて安全な行動ができる」ことを第一に。
中学生以上は(小学生までの知識・行動を前提として)「指示がなくても行動できるようになる」ことを第一に。

災害から「命を守る」という知識(知恵)や技術を身に付け、行動できるようになるというのは、簡単なことではありません。
だからこそ、児童生徒の発達段階を意識した継続的な防災教育が求められます。

焦っていろいろやろうとするよりも、まずはそれぞれの先生方が主に担当する発達段階で必要となる知識・技術の習得を中心に検討していただくことが重要です。

 

4 ポイント3 学習テーマを具体的に設定

 

さて、ポイント2では児童生徒の発達段階に焦点をあてましたが、それだけでは足りません。
「誰に」教えるか、ということを整理したら「何を」教えるかを考える必要があります。

防災教育なんだから防災を教えればいいのだろう、と思われるかもしれませんが、一言で「防災」といっても内容も指導方法も様々です。
ポイント2では発達段階で整理しましたが、今度は防災教育実践50選のコンテンツを学習テーマで整理してみましょう。

 

★家庭や地域の防災の基礎について学ばせたい

[教材選択のポイント]
家庭・地域での防災については、自宅、学校、地域の防災について目を向けさせる教材が有効です。
前提条件として、地震災害そのものに対する一定の理解が必要ですので、石川先生による動機付けや家庭での防災に関する教材、釜石市津波防災教育の1・2年生向けの教材を中心に指導されることをおすすめします。

 

防災教育への動機付け 1-2/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/954
自宅危険度チェック 9/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/952
家族を守る防災新聞 14-16/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/959
防災マップの作成(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/951
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(1) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/447
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)I-B(2) 地震・津波を知る-津波の特徴を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/448
【釜石市津波防災教育】(1・2年生)Ⅰ‐C地震・津波を知る‐避難の必要性を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/449
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) I -A 地震・津波を知る-地震・津波のおき方を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/451
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅰ‐B 地震・津波を知る津波の特徴を知る
http://edupedia.jp/entries/show/452
【釜石市津波防災教育】(3・4年生)Ⅲ‐A地域の津波被害を考える−過去の津波被害を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/434
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅲ-B 地域の津波被害を考える-津波から地域を守る対策を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/428
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅳ-A 先人の経験に学ぶ-体験者から話を聞く-
http://edupedia.jp/entries/show/420

★地震・津波から身を守れるようになってほしい

[教材選択のポイント]
地震発生直後(津波の場合は津波がくるまでの数分~数十分間)の行動を具体的にイメージさせることが重要です。
緊急地震速報や避難行動、避難場所について正しく理解させていく指導がポイントです。

 

学校での避難行動 3/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/955
自宅での避難行動 4/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/956
避難行動の順序 5/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/967
避難場所・避難経路を考える 6/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/970
緊急地震速報についての学習 7/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/969
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-A 対処行動を知る-地震から身を守る方法を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/437
【釜石市津波防災教育】(3・4年生) Ⅱ-B 対処行動を知る-津波からの避難方法を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/461
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(1) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/456
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-E(2) 対処行動を知る-避難後の行動を考える-
http://edupedia.jp/entries/show/458
【釜石市津波防災教育】(中学生) Ⅱ-F 対処行動を知る-避難できない人間の心理を知る-
http://edupedia.jp/entries/show/457

★被災後を生き抜く力を身につけてほしい

[教材選択のポイント]
安全を確保したのちの避難生活や長期的な復旧・復興の様子をイメージさせる教材が必要です。
佐藤先生の資料は、事前に教員がチェックをして必要な部分を学習教材として利用する、あるいはプリントアウトして児童生徒に読ませ、感想や意見を書かせるといった使い方をすることで、被災後の状況をイメージさせることにつながるはずです。

 

防災袋についての学習 10/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/950
防災袋を作ってみよう(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/958
家族会議と災害伝言ダイヤル「171」についての学習 8/16時間(日本女子大学 石川孝重研究室)
http://edupedia.jp/entries/show/961
岩手県中学校の地震発生時の状況と対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/lUs9Qp
東日本大震災経験者の作った防災チェックリスト(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/AltgVB
東日本大震災の時、避難所にあればよかった20の物品(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/Fy3Twu
避難所運営への対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/BrHVry
被災した生徒のストレスへの対応(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/gU6Zvq
震災を通した生徒の成長(佐藤謙二先生)
http://goo.gl/0SA9yh

 

5 ポイント4 学習成果や課題はフィードバック

 

最後のポイントは「学習成果や課題はフィードバック」です。
防災教育教材の「標準化」に欠かせないのは、フィードバックです。

防災教育50選の記事を読み実際に授業で使ってみた。
その結果、どんな反応や学習成果が得られたか。あるいはどんな課題があったか。
それをフィードバックすることで、教材としてのブラッシュアップが行われます。
教育工学(インストラクショナル・デザイン)で言われる「ADDIEモデル」は教材のブラッシュアップモデルとして活用できます。

 

分析(Analysis): 学習者(児童生徒)や学習環境、テーマに関する分析
設計(Design): 教材やプログラムの骨子を設計、比較、検討する
開発(Development): 教材やプログラムを開発する
実施(Implement): 学習者に対し教材やプログラムを使用し、授業を実施する
評価(Evaluation): 実施成果について、児童生徒による評価、自己評価を行う

 

いろいろな人が、同じ教材を違う視点で使うことで、多様性のある教材へと磨かれていきます。

「なかなか思うような教材がないな・・・」と思ったらなら、まずは近い教材を使って実施し、そのフィードバックを次回に反映させることで自ら「理想的な教材」を作っていけばよいのです。

EDUPEDIA は様々な先生方、教育関係者が利用しています。
積極的に意見を出し合えば、良い教材が必ず生まれてくることでしょう。

それぞれの記事でも、本記事でも構いませんので、ぜひ実践フィードバックや防災教育へのご意見をいただければ幸いです。
6 おわりに

防災教育コンサルタントとして、年間100日間程度は教育機関での防災教育実践に携わらせていただいた経験から、防災教育50選の内容を整理させていただきました。
末筆ながら、記事作成にあたり、EDUPEDIA 編集部様に多大なご協力をいただきましたことを感謝申し上げます。
【防災教育の実践・指導補助はこちらで承っております】

災害救援ボランティア推進委員会 http://www.saigai.or.jp/
防災教育普及協会 http://www.bousai-edu.jp/

 


 

本記事へのお問い合わせは こちら からお願い致します。

臨時 災害ボランティア活動事前研修用資料(JCN-GLチーム)

JCN(東日本大震災支援全国ネットワーク)ガイドラインチームが作成した資料等を掲載します(弊会もガイドライン作成に協力)。

詳細は上記JCNリンクよりお問い合わせください。

※いずれもPDF型式です。

 

01_安全衛生プチガイド

02_災害ボランティア活動ガイドラインVer3.0

03_安全衛生のポイント(夏期)

04_災害ボランティアの心のケアポイント

05_長期支援(生活不活発病)のポイント

06_子どものアレルギーポイント

07_ボランティアバス運行のポイント